インボイスってそういうことだったのか
~制度の概要編~
2023年10月からいよいよ始まるインボイス制度。
よく耳にするけど、いったいどういう制度なの??
分かりやすく記事にしてみました。
インボイス制度の概要
まず最初に「インボイス」という用語の意味から説明していきます。
「インボイス」とは「適格請求書」と呼ばれ次の項目が記載された請求書や納品書などの書類をいいます。
◆「インボイス」に必要な記載項目
①発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額
⑤交付を受ける者の氏名または名称
⑥軽減税率の対象品目である旨
⑦税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)
⑧適格請求書発行事業者の登録番号
⑨税率ごとの消費税額
これらの事項が記載された書類を交付する義務が「売り手」にはあり、交付を受けた「買い手」はインボイスを保存する義務があります。
これがインボイス制度です。
インボイス制度の導入背景
国のインボイス制度の導入目的は「透明性の確保」と「課税公平性の確保」の二つと考えられています。
透明性の確保
消費税は1989年(平成元年)に初めて日本に導入され、当初は3%の税率でした。
その後1997年(平成9年)からは5%
の税率、2014年(平成26年)からは8%
の税率、2019年(令和元年)から10%
の税率に段階的に引き上げられてきました。
また、2019年の引き上げの際に「飲食料品等」や「定期購読新聞」などについては10%ではなく、8%の軽減税率
が適用されています。
現状の消費税は、原則の10%と軽減税率の8%が混在しています。
商品やサービスにかかる消費税率が10%なのか8%なのかを明確にしないと、消費税の計算が正しく行われているのか不明瞭となり事務処理も煩雑になります。
このため、税率ごとの消費税額などが記載された「インボイス」の発行を必須とする
ことで、消費税額の計算が正しく行えるようになるのです。
課税公平性の確保
事業者が納付する消費税は次のように計算されます。
商品を11,000円で売った(うち消費税1,000)
商品を3,300円で仕入れた(うち消費税300)
年間の取引がこれだけの場合
1,000ー300=700←納税額となります。
売上規模の小さい事業者は、消費税の煩雑な計算が大変だろうということで、いままで消費税の納税義務を免除されていました。
上記の消費税の納税も免税事業者であれば700円は国に納める義務がなく、免税事業者のもらい得となっていました。
これを是正するためにインボイス制度が導入されました。
消費税とは
そもそも消費税とはどういった税金なのでしょうか?
国税のHPには「消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。」と書かれています。
かみ砕いて言うと、消費税は商品を買ったりサービスを受けた消費者が負担する税金で、商品を売ったりサービスを提供した事業者が消費者の代わりに消費税を納付します。
事業者が消費者に1,100円で商品を売ったとします。
買った消費者は100円消費税を負担しています。
商品本体は1,000円で買えるのに消費税が課税されるので、事業者へ1,100円払っています。
事業者側に立つと、商品本体は1,000円で
100円の消費税を消費者から預かっていることとなります。
因みに売った事業者側の仕訳(税抜き経理)では
/ 仮受消費税 100円
となり、預かった消費税を事業者は決算時にまとめて1年分納税することとなります。
課税された消費者が納税するのではなく、預かった事業者がまとめて納税することから「間接税」 とも呼ばれています。(ちなみに酒税も間接税)
間接税に相対するものとして直接税があります。
事業の儲けに対して課される法人税や所得税、所有資産に対して課される固定資産税などが直接税にあたります。
消費税は特に所得制限が設けられているわけでもなく、何か物を買ったりサービスの提供を受けたりすると必ず払わないといけない税金になります。
(間接的に事業者が払っていることになっているのですが・・・)
まとめ
インボイス制度の概要や導入に至った背景など国の考え方を頭にとどめておくと、どんな取引であっても何に注意したらいいのかの応用がきくと思います。
制度の導入で消費税の透明さや公平さは確保されそうですが、いかんせん取引や経理の現場では事務負担がさらに高まります。
DXなどの活用によって少しでも事務負担を軽減させていけたらと日々知恵を絞っています。
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