国税庁が提供する年末調整ソフトを使った方がいい?? 実際使ってみた感想や活用方法を解説

国税庁が作成した年末調整控除申告書作成用ソフトウェアとは

今年もあっという間に年末調整の時期がやってきました。年を重ねるごとに、1年経つのが早い早い・・・

さて年末調整の際に、勤務先に提出する書類は

・「扶養控除等申告書」

・「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」

・「保険料控除申告書」

・「住宅借入金等特別控除申告書」

の4つです。

紙ベースでの提出だと、ご自身や扶養家族のお名前を手書きで記載、保険料の控除証明書を元に自力で控除額の計算まで行うのが基本です。

これを、紙ではなくデータで提出することが出来るのが国税庁が提供している「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」です。

このソフトウェアは「年調ソフト(アプリ)」とも言われているようで、国税庁が促進するペーパーレス化に伴って2020年から提供が開始されました。

給与支払者側がまず確認しなければいけないこと

この国税庁提供の「年調ソフト」はあくまでも、年末調整に必要な4つの書類(扶養控除申告書などなど)を電子化するソフトです。

ですので、この「年調ソフト」では実際の年末調整の計算はしてくれません。

最初そこを勘違いしていて、あれ?年末調整の還付額はどこで計算するんだろと、マニュアルを見ながら疑問符だらけでした。

ですので、まず「年調ソフト」導入前に確認して頂きたいのが・・・

「年調ソフト」が自社利用の給与ソフトや年末調整ソフトとの連動できるかです。

普段給与計算に使っているソフトや、年末調整に使うソフトが、この国税庁提供の「年調ソフト」のデータをインポート出来るかを確認してください。

せっかくデータで提供された情報なのに、インポートできないが故に紙で印刷して、また自社利用の年末調整ソフトに打ち直す・・・

なんとも手間です。

確かに書類を提供する側は、「年調ソフト」で打ち込むことで、手書きの手間はなくなります。

また、次の年も名前などの基本情報を繰り越せることができるので、一度入力してしまうと、翌年は楽になります。

ですが、「年調ソフト」を最大限生かすには、さらにこのデータが、自社利用の年末調整ソフトにインポートできる事です。

無事に組み込まれたら、給与計算担当者の作業効率は格段にあがると思います。

因みに給与ソフトは「弥生給与」、年末調整ソフトは「魔法陣_法定調書・年末調整」はインポートすることが出来ました。

他の給与ソフトもおそらくほぼインポートできると思います。

蛇足ですが、年調計算もできる給与システム等は国税庁では今後も導入する予定はないとのこと・・・

電子化を進めるなら、ここでもう一声ほしいのですが現状は致し方ないです。

では次に、作業の流れを見ていきましょう。

給与支払者側の作業のながれ

事前準備

従業員への周知

今年の年末調整は「年調ソフト」を使って、書類を提出してくださいね。と従業員へ案内してください。

因みに法令上は、事前に従業員から同意を得る必要はないと事のです・・・(年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ 問2-1参照)

パソコンを持っていない従業員でも、スマホでデータ提出を求めることができます。

また、控除証明書等のデータを、従業員自身のマイナポータル連携し取得することもできます。

こちらを利用される従業員は、事前の準備が必要なため、「年調ソフト」を使用する!と決めたら、早めのアナウンスが必要です。

給与支払者の情報(名称、所在地など)の登録と従業員への配布

従業員が作成する控除申告書のデータに、給与支払者の情報を入れる所があります。

給与支払者がその情報を事前に作成し、配布することで、従業員の作業軽減や誤入力を防止することができます。

従業員IDの設定

給与支給側が従業員に、管理用IDを設定する場合は、事前にExcelなんどでIDを設定し、従業員へ伝えます。

もともとある社員番号などを利用する場合は、その旨を従業員に知らせ、その番号をIDに設定するように通知してください。

するこちらは、法人税と同じで直近の決算に対応する、中間申告(予定申告)で納税が必要な税額が表示されます。

データを収集し年調計算へ

◆従業員からの「年調ソフト」データを収集する

従業員が作成した「年調ソフト」のデータを、メールやクラウド上で収集します。

給与支払者でデータを復元インポートする際には、従業員の「ID」と従業員が設定した「パスワード」が必要となりますので、こちらも別途入手してください。

その後、そのデータを元に年末調整を行って行きます。

ここからは、お使いの給与ソフトや年末調整ソフトでの操作となります。

従業員側の作業手順

次に、従業員側の操作の流れを説明します。

今回はスマホ版(iOS)で「年調ソフト」を使ってみます。

App Storeで「年末調整 国税庁」と検索

評価の低さに唖然としますが・・・このアプリをインストールします。

②インストールしたアプリを開き「控除申告書を作成する方はこちら」をタップ

③「新しく年末調整の書類を作成」をタップ

④「受けられる可能性がある控除を確認」をタップ

どの申告書を作成するかご存じの方は、2段目の「控除申告書を選んで作成」をタップし、すぐに作成することも可能です。

⑤質問がページが開き、ご自身の該当箇所に回答していきます。

保険やご家族のことについての質問が出てきます。

最後に「あなたが受けられる控除のご案内」が表示されます。

⑥次に「あなたの氏名等の入力」を行います。

⑦次に「給与支払者情報の電子データをインポート」を選択。事前に勤務先から送られている給与支払者情報をインポートします。

基本情報入力内容の確認をし、作成した申告書を電子データで出力→勤務先へ送ります。

※メールで勤務先へ送ることもできますし、データでスマホに保存しクラウドへ置くこともできます。

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◇秋田ゆうこプロフィール

まとめ

「年調ソフト」の事前準備や操作方法についてまとめてみました。

お使いの年調計算ソフトと連動できるのなら、この「年調ソフト」を使ってみるのはありかなと、思います。

特に従業員数が多い会社は、紙だと紛失のリスクや保管の手間などを考えると、年調の電子化を取り入れるのはメリットが大きいと思います。

この「年調ソフト」出始めの頃は、使い勝手が悪いだの、けちょんけちょんに言われていましたが、年々改良が加えられています。

一年目は戸惑うこともあるかと思いますが、毎年の年末調整に係る時間を少しでも短縮できるかなと思います。